今田 俊輔
miniTua-wind ensemble 代表

小編成の魅力に気づいた高校時代

私が所属していた高校の吹奏楽部は、部員数が150人ぐらいいて、オーディションでA組・B組・C組と分けられるんですね。
私はありがたいことに、3年間、55人編成のA組にいましたが、B組は30人、C組はもっと少ない人数でした。

B組・C組は、とにかく楽しそうなんですよ。人数が少ないし、先生とコミュニケーションが取れるし、人数が少なければ少ないほど仲良くなるというのがあるじゃないですか。
もちろん、55人のA編成でも楽しいし仲は良いんだけど、そんなA組とは違う雰囲気があって、「うらやましいなあ」とずっと思っていたのがまず一番最初にありました。

藝大での はじめてのアンサンブル

藝大に来ると、音楽について真剣に考えている人しかいなかった。
今考えれば当たり前なんですが、ただの高校から藝大に来たときに、全員が音楽の未来についてちゃんとしゃべれることが「すごいな」と思いました。
“この人たちは一体どんな音をしてるんだろう”と、いざ、アンサンブルで一緒に音を出してみたら、それはもうすごかったですよね。
そこで、「小編成っていいな」と思いはじめました。特に上手い人たちとやる小編成のアンサンブルというのにすごく魅力を感じました。
アンサンブルでは、大編成の吹奏楽とは違い、一人ひとりの音が聴こえる感じ、いろんな色が出てくる感じで、ソリストチックになるじゃないですか。
藝大生は一人ひとりが本当にうまいので、みんなとアンサンブルをしたときのあの感動は 絶対死ぬまで忘れないだろうなと思います。

今後 miniTua-wind ensembleとして目指していきたいこと

大きく言うと「小編成吹奏楽」というものをもっと広げて、もっと盛り上げたいです。
たとえば、全日本吹奏楽コンクールはA編成にしか全国大会はないんですよ。では、全国の舞台で演奏したいとなったら、どんなに小編成でもA編成に出なきゃいけない。
20人だろうが10人だろうが、50人規模の団体と同じ土俵で戦わなきゃいけない。
もちろん、それでいい演奏をして勝ち抜いていく団体もあるんですけど、そこを同じ土俵で審査するというのは、ちょっと無理があるんじゃないかなと個人的に思っています。
吹奏楽コンクールでなくてもいいので、小編成吹奏楽で目指せる舞台というのをどうにかして作ってあげたいなというのがまず1つ目にあります。
あとは、たくさんの作曲家やアレンジャーが、もっともっと小編成やフレキシブル作品に目を向けてほしいという思いもあります。
小編成のレパートリーやアレンジ作品を増やしてもらいたい。小編成はやっぱりまだ曲数が少ないというのがあるので、そこにもっとたくさんの人が目を向けてくればいいなというのがあります。

そうやって「小編成」を盛り上げていけばいくほど、どんどん音楽をやりたいと思ってくれる人が増えて、きっと中高でも、もう一回大編成に戻れる学校もあるかもしれません。
また、たとえば中学や高校を卒業した後、大学生になっても音楽続けてみたり、社会人になっても社会人バンドに入ってみたり、そういう人が増えていくことで、今減っていっている音楽人口がもっと増えていくんじゃないかなというふうに思います。

小編成を盛り上げたいということと、小編成を盛り上げることによってそもそもの音楽人口を増やしたいというのが目標です。


今田 俊輔●2001年生まれ。トランペットを9歳に始める。八王子学園八王子高等学校音楽コース、東京藝術大学音楽学部器楽科を卒業。これまでに、トランペットを長谷川智之、栃本浩規、佐藤友紀、菊本和昭の各氏に、室内楽を日髙剛、栃本浩規、辻本憲一の各氏に師事。第35回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール第2位。第28回、第29回日本クラシック音楽コンクール全国大会出場。Ameise Brass、NEWTIDE JAZZ ORCHESTRA、各メンバー。miniTua-wind ensemble 代表。

今田 俊輔

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